団体交渉の実施にあたって

 組合は、定期的に大学側と団体交渉を行っています。交渉内容はあらかじめ執行委員会等で検討をし、必要に応じて事前交渉をし、本交渉(学長、理事)を行います。
 部局段階での解決が望ましいと考えられる案件は、部局との交渉を行うことを基本としますが、部局での解決が難しいと思われるものや、部局での交渉が難しい場合も、本交渉を行います。
 そのため、交渉に持ち上げたい案件は、あらかじめ「ご意見・労働相談・加入」メニューの登録フォームでお知らせください。



 なお、大学は2012(H24)年7月から2014(H26)年3月の給与・退職金の一方的削減に対し、2014(H26)年5月に東京都労働委員会から、「賃金・退職金の削減は重要な労働条件の変更であることを認識するとともに、提案にあたっては、予算・決算の使途を詳細に検討し、事業計画の組み替えなどの検討経緯やその結果を説明できるように資料を用意して組合との団体交渉に臨むこととし、団体交渉が実りあるものとなるよう努力する」こと、という勧告を受けています。同時に、「大学は時間的な余裕をもって、組合との合意を目指し誠実に協議するとともに、交渉当事者として良好かつ円滑な労使関係を維持させるべく努力するよう要望する」という労働委員会の要望を受けています。詳細は、「労働委員会の勧告」メニューでご覧ください。
 

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日本学術会議による会員推薦に対し政府による介入なく全員の任命を

声明
日本学術会議による会員推薦に対し、
政府は介入をすることなく全員を任命することを求める

2020年10月12日
電気通信大学教職員組合執行委員会

 10月1日に開催された日本学術会議総会において、会議として推薦した105名のうち、6名が菅首相によって任命されず、その件について政府から理由の説明は一切されなかったことが明らかにされています。
 日本学術会議法では、学術会議会員は内閣総理大臣が任命する(同法第7条)とされているものの、1983年の政府見解ではあくまで学術会議の推薦に基づいて(同法第17条の定め)行われる形式的な任命権行使であるとしています。これは学問の自律性を尊重した政府の姿勢ですが、この経緯について菅首相は政府見解を変更していないと説明し、一方で憲法15条にある公務員の任免権を理由とした上で、「人事案件」のため任命拒否理由を説明できないとしています。
 しかし10月9日、菅首相は日本学術会議からの105名の推薦者リストを見ていないと説明しています。これは「推薦に基づいて内閣総理大臣が任命する」という日本学術会議法第7条に明らかに反します。このことが事実であれば、菅首相は他人まかせで6名を除外したことになり重要な問題を含んでいます。菅首相は「総合的俯瞰的観点から判断」と主張する以前に、自ら法律に反する任命をしており、改めるべきです。

 日本学術会議法の前文には、「平和的復興、人類社会の福祉に貢献し、世界の学界と提携して学術の進歩に寄与することを使命」とあります。同2条3条には、「日本学術会議は、わが国の科学者の内外に対する代表機関」であり、「独立して職務を行う」とあります。
 この任命拒否問題についてHNKは、国際的なジャーナルであるNatureが、学問の自律性と自由を守るという何世紀にもわたって存在してきた原則を、日本の政治家が後退させようとする兆候があるとした上で、「日本の菅総理大臣が、政府の科学政策に批判的だった6人の科学者の任命を拒否した」と紹介している(10月8日号)、と報道しています。世界は既に、日本の政府の姿勢に対し疑問符を付けるに至りました。
 私たちはこのような事態を憂います。日本学術会議の国内外の役割を尊重し、政府による介入をせず、日本学術会議からの「新規会員任命に関する要望書」(10月8日付)に真摯に対応され、会員候補者全員を任命するよう求めます。

 

軍事研究(デュアルユース問題)について

 軍事研究(デュアルユース問題 )について
2017年1月26日 電気通信大学教職員組合執行委員会
【忙しい方のために】
 私たちのように科学技術の教育・研究に携わる者が、軍事研究とどのように関わるか、という問題が取りざたされています。その中でも、「科学技術研究の成果は民生用・軍事用のどちらにも使われる可能性がある」という側面からの議論を、「デュアルユース問題」と呼んでいます。この記事では、デュアルユース問題を掘り下げ、私たちが取るべき方針について考えてみたいと思います。忙しい方のために、この記事の要点を先に記します。

☆ 基本的な考え方:
  1. 「デュアルユース」の可能性があることと、「デュアルユース」を意図することは別物である。
  2. 資金源に軍が関係しているものは、すべて軍事目的の意図があると解釈するべきである。
  3. 科学技術の研究者としての態度にはいろいろあっても、
    ◎ 研究成果の公開が例外なく保証されること、
    を求めていく。
☆ 全国の大学およびこれに準ずる研究機関に向けた提言(案):
◎ 大学等と防衛省関係機関との間で、「技術交流」に関する提携を行わないこと
◎ 大学等に属する個々の研究者が防衛省関係機関との共同研究を行う場合にも、大学等所定の「共同研究実施規程」
  もしくはこれに相当する規程の適用を免除しないこと
◎ 成果の公開性は絶対に守るべき大学の義務であり、将来起こりうる状況まで熟慮して曖昧に扱ってはならないこと
◎ 組織の役員会や代議員会・教授会・専攻会議などで議論を積み重ね、大学人としての矜持を持って見解を披露し、
  デュアルユース問題に対応するよう努力すること

☆ 現時点での本学の軍事研究への対応と現状:
◎ 対応:防衛省からの共同研究の要請がある場合には、学長が判断
◎ 現状:防衛省との共同研究は行わない方針を概ね保持

 なお、この記事では
● 池内了「科学者と戦争」岩波新書,2016
を参考文献とし、ここからの引用を含み、主張を採用している部分があります。また、以下で使用する「軍」という言葉の範疇には、米軍のほか日本の自衛隊・防衛省が含まれていることをご承知おきください。


【経緯も含めて詳しく】
 本年7月19日付けで、本学学長から、デュアルユース問題に関するNHKのアンケートへの対応についてのメールが全学に送付され、意見を求められています。また、この間の報道などからは、大学・研究機関などではデュアルユース問題への対応に揺れがあることが見受けられます。軍事研究を許容する機関がある一方で、最近の関西大学の決定のように、はっきりと軍事研究を拒否するところもあります。
 このような状況を受けて、組合執行部ではこの問題に対する見解を以下のようにまとめました。これに対するご意見を歓迎いたします。学内便で組合事務室宛てに送っていただくか、メールで組合voice ( @ ) 宛にお寄せください。
☆ まず、基本的な考え方は次の通りです。
  1. 「デュアルユース」の可能性があることと、「デュアルユース」を意図することは別物である:
    科学技術はほとんど常に「デュアルユース」が可能なものです。したがって、ことさらに「デュアルユース」を言い立てる場合は、単なる可能性以上のことを意味しています。つまり、その場合の資金提供者は軍事目的に使用する明確な意図を持っている、と見るべきなのです。
  2. 資金源に軍が関係しているものは、すべて軍事目的の意図があると解釈するべきである:
    軍の関与が明らかであるのに「この研究は純粋に民生用である」と主張することは、疑惑と混乱を招く要因になります。したがって、軍が関係する以上は研究が軍事目的に利用される可能性が必ずあるとみなすべきです。
    その上で残る問題は、現実には軍関係の意向を受けた非軍事組織が介在しているケースがあることです。場合によっては軍の関与が明示されないため、事情はかなり複雑です。資金提供者の意向・背景をよく調べて、自分の研究成果がどのように利用されるのかを理解することが必要になります。
  3. 科学技術の研究者としての態度にはいろいろあっても、
        ◎ 研究成果の公開が例外なく保証されること
        を求めていく:

☆ 参考文献によれば、科学技術の研究者の態度は次のように分類されるそうです。
  1. 防衛省との共同研究は軍事研究だから、一切携わらない。
  2. 防衛省との共同研究は軍事研究だから関与したくないが、研究費が不足しているため参加はやむをえない。
  3. 防衛省との共同研究が防衛目的であるか、あるいは将来的に民生目的に転用する約束があれば、それは軍事研究とはいえない。したがって共同研究に参加することに問題はない。
  4. 科学・技術の発展につながるのだから、積極的に防衛省との共同研究を行なう。軍事技術は民生技術の底上げにつながるし、軍事技術もいずれ民生利用が可能になるのだから、わざわざ軍事と民生に区別するのは意味がない。
  5. 国家のために尽くすこと、あるいは(国が)研究費を出している国立の研究機関に属しているのだから、国の要請(命令)に従うことは当然である。
 これらは、本質的には個々の研究者の倫理の問題です。そうではあるけれども、すべての人がよく考えて自身の態度を決めているわけではない。実際には個人の思索には限界があって、どこかで「思考停止」を行うことになります。その時に、自己欺瞞のケースも含めて時流に押し流されてしなうことも多いでしょう。したがって、私たちは、この問題については「皆で考え続ける」ことが重要だと考えています。

 組合執行部の中にもいろいろな態度の委員がいます。そこで議論を積み重ねた結果、多くの研究者が賛同できる最初のステップとして、
◎ 研究成果の公開が例外なく保証されること
を掲げようということになりました。これを守る努力を続けて行きましょう。

 さらに、この問題を「皆で考え続ける」ために、全国の大学や研究機関に呼びかけることも大切です。そこで、成果公開の保証を原則とした上で、
☆ 電気通信大学教職員組合として次のような提言を行うことを提案いたします。

【1】大学等と防衛省関係機関との間で、「技術交流」に関する提携を行わない 
【2】大学等に属する個々の研究者が防衛省関係機関との共同研究を行う場合にも、大学等所定の
  「共同研究実施規程」もしくはこれに相当する規程の適用を免除しないこと
【3】研究成果の公開性は絶対に守るべき大学の義務であり、将来起こりうる状況まで熟慮して曖
   昧に扱ってはならないこと
【4】組織の役員会や代議員会・教授会・専攻会議などで議論を積み重ね、大学人としての矜持を
   持って見解を披露し、デュアルユース問題に対応するよう努力すること
 
 さて、実際に電通大では軍事研究との関係はどのようになっているのでしょうか?
 まず、学長からのメールでも触れられているように、

◎ 本学には、軍事研究を行わない旨の教授会決議(昭和41年1月27日付け)がある
という事実があります。したがって、この教授会決議に触れるような研究活動は、この決議を覆すことを学長が宣言しない限り、行うことができません。私たちの調査では、以下のような状況になっています。
(1)民間以外との共同研究規程は存在しない
   「公的機関との共同研究の場合は、原則として電通大が資金提供を受けることがないから」というのが理由です。
   若干の例外があり、その場合には民間との共同研究規程を適用しているそうです。
(2)共同研究はすべて学長裁定
   防衛省からの共同研究の要請がある場合には、学長が判断します。これまでの例では、担当理事に報告が行き、
   理事から当事者へ説明があって、すべて断っているそうです。
(3)大学を通さないで教職員が共同研究を受託するケースの扱い
   この場合にはその教職員の「兼業」になるそうです。軍事研究との関係が疑われる場合には「兼業審査委員会」
   が開催され、ここで議論して研究科長が兼業の可否を裁定することになっています。「兼業審査委員会」につい
   ては国立大学法人電気通信大学職員兼業規程
   の第9条四を参照してください。ただし上記のことは明文化されていません(内規だそうです)。
    判断の基準は「軍事に関係するかどうか」だそうで、非軍事組織が介在している場合などを十分に検討できて
   いるかどうかは不明な点があります。最近では1件の許可例があり、「委託期間中に1回のみの兼業を認めた」
   そうです(1回というのは、例えば委員会出席などのことを指すようです)。


 以上のように、現状では、本学では防衛省との共同研究は行わない方針が概ね保たれているようです。上述した教授会決議が覆されない限り、この方針は続けるべきでしょう。さらに、上記提言(案)の【1】【3】に基づき、【4】で述べたように、全学での議論を積み重ねて一人ひとりの問題意識を深化させていくことが大切であると信じます。
以上
 

STOP 雇い止め

無期雇用の道の検討を
2017.1.31 教職員組合委員長 水 谷 孝 男
 昨年労働環境の問題で大きくクローズアップされたものに、「雇い止め」があります。現在大学で働いているパートタイム職員の方々の雇用期間は、基本的には1年でありこれを複数回繰り返すことにより、3年から5年の期間での継続的な雇用をしています。しかし改正労働契約法が施行されて、働いている期間が5年を超えた場合は、本人の申し出により無期転換とすることができるようになりました。
 ところがこれまでの働き方では、1)5年を超える前に雇用を打ち切りとし、他の法人職場を紹介するなどして、働いている期間が長くならないようにする、2)5年を超えないように半年程度の空白期間を設けるなどで雇用の継続性を切り、その後働いてもらう、3)5年を超える前に雇用を打ち切り他の人を雇う、4)回数制限のない雇用、ということが行われてきました。
 1)は職場や仕事内容が変わることによりパートタイム職員の負担が増すものの、収入はなんとか確保されます。2)はパートタイム職員にとっても現場にとっても負担のかかることになります。3)はパートタイム職員にとってその後の収入や職場が得られる保障がなく、知人やハローワークを頼って次の仕事を探さざるを得ません。1)から3)までは「雇い止めと」言われ、パートタイム職員にとって不安と負担のかかる対応となります。
 そもそもなぜ有期での雇用をしなくてはならないのでしょうか。プロジェクトなど期限のある業務に対しては有期雇用にすることは理解できます。では5年を越える期間で運営体制が変わり、業務の有無が変化する場合はどう考えたらよいでしょうか。現場で雇う側も、いつまで現状の運営体制が維持できるかわからず、悩ましい課題となっているということがあるようです。
 しかし運営体制の変更があるからとって、そのしわ寄せをパートタイム職員に求めて良いのでしょうか。そのことを職場として考えて行く必要があります。新聞等で報道されているように、東北大学での3,200名もの雇い止めをするとした対応は、余りにも浅はかな対応と言わざるを得ません。公的機関としての法と良識をもった対応が求められています。 
 電気通信大学の職場では、無期化にしないことを目的として5年を前に退職を迫るとか、雇い止めをしても良いという安易な考え方はあってはなりません。この問題を現在の職場や社会で働く共通の課題として受け止め、無期転換のルールづくりをしていくことが大切です。
 文科省は、昨年12月に2度に亘り有期労働からの無期転換ルールの方針を各大学で決め、今年4月からの労働契約に盛り込むことを求めています。電気通信大学の検討が待たれます。

【参考資料】